フィギュアスケート・世界選手権最終日(23日・さいたまスーパーアリーナ)――男子はフリーが行われ、ショートプログラム(SP)3位の羽生結弦(ANA)が2位となり、合計300・97点で2位に入った。SP6位の宇野昌磨(トヨタ自動車)はフリー4位で、合計270・32点の4位。SP19位の田中刑事(倉敷芸術科学大)は14位だった。ネーサン・チェン(米)が合計323・42点で、フリー、合計ともに今季世界最高得点で2連覇を飾った。アイスダンスはガブリエラ・パパダキス、ギヨーム・シゼロン組(仏)が合計222・65点で優勝。
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演技直後の羽生の顔に、満足感が広がった。冒頭の4回転ループを鮮やかに決め、最後に集めた三つの連続ジャンプも4回転トウループ―トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の連続技を含めて全て成功した。フリーで200点、合計で300点を超す好演。しかし、直後に滑ったチェンに抜き去られ、「ベストを尽くせたが地力が足りない。完全に実力不足」と苦笑いした。
冒頭の4回転ループに、プライドが詰まっていた。右足のエッジ(刃)だけで踏み切るジャンプで、正確なエッジワークとタイミングが求められるループ。4回転は、羽生が世界で初めて成功した代名詞だ。
度重なる右足首のけがの影響で、跳躍が小さくなっていた。以前は「自分らしさが消える」と否定的だった筋力トレーニングを導入。この日の跳躍は、出来栄え点(GOE)で3・45点を稼いだ。高く力強い跳躍を取り戻し「やってきたことが正しかった」とうなずいた。
ルッツ、フリップと基礎点の高い4回転を跳ぶチェンに、フリーの技術点で約11点の大差をつけられた。「4回転の種類を増やさないと勝てない。早く練習したい」。ライバルの背中を追う感覚は久しぶり。「彼と戦うのは楽しかった。もうチャンピオンじゃない。強くなりたい」。悔しさに闘志をにじませ、進化を誓った。(永井順子)
フリーと合計で今季世界最高得点を更新した羽生の直後、まだざわめきが残る会場にも、連覇を狙うチェンの心は乱れない。「4回転の申し子」は全てのジャンプでGOEの加点を引き出すほぼ完璧な内容で、羽生の得点を大きく上回った。
序盤にルッツ、フリップ、トウループと4回転を立て続けに決めると、後半にも4回転―3回転の連続トウループを成功。3種類の4回転を4本組み込んだ高難度プログラムを滑りきり、「より重圧のかかる大会で、冷静に自分の演技ができたことを誇りに思う」と自信を口にした。
5位に終わった平昌五輪後、世界選手権で初優勝。今季は、昨年12月にグランプリ(GP)ファイナル連覇を達成するなど、主役であり続けた。今大会で、五輪以来となる羽生との直接対決も制し、「結弦への大きな歓声の後も応援してもらえたので、いい演技ができた」。爽やかな笑顔の19歳が、正真正銘の世界王者となった。(中安真人)
勝ちへの執念が空回りしてしまったか。4回転ジャンプを4本組み込んだ宇野の強気の組み立ては、不発に終わった。
「攻めないと絶対に勝てない」と臨んだフリー。だが、リンクに立つと弱気が襲って来た。「最初のジャンプ、跳べる気がしない」――。冒頭のサルコーは両足着氷で手をつき、続くフリップも着氷が乱れてしまう。その後は、予定した4回転―2回転の連続トウループが単発の4回転になるなど、昨年12月のグランプリファイナル以来となる高難度の構成はこなせなかった。
「本当に自分は弱い。トップで争うために、自分をリセットして一から見直す」。涙をこらえながら絞り出した宇野。この日のフリーはきっと、再起を期す21歳の道しるべになる。(小沢理貴)
https://www.yomiuri.co.jp/sports/winter/20190324-OYT1T50002/
2019-03-23 20:00:00Z
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