大相撲の関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=の大関昇進が、事実上決まった。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が春場所千秋楽の24日、昇進を審議する臨時理事会の開催を明言。過去に理事会で昇進が見送られた例はない。もっとも、ここに至るまでの経緯は意外な“難産”で、決して一筋縄ではいかなかった。
千秋楽は7勝7敗でカド番の大関栃ノ心(31)=春日野=と対戦。わずか4秒で押し出し、10勝目を挙げた。在位5場所で陥落となった栃ノ心との“大関入れ替え戦”を制した格好だが、取組前はたとえ勝っても昇進は微妙な雰囲気で、審判部の阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は昼の三賞選考委員会終了後、「最後まで見ないと」と何度も繰り返した。
普通、横綱でも大関でも昇進が近づくと、それらしいムードが場所中の役員室や審判部に充満するが、今場所は違った。
一因は右肩下がりの成績にある。貴景勝は優勝した昨年九州場所が13勝、先場所が11勝。「普通は10勝、11勝、13勝という風に右肩上がりで盛り上がって昇進する。逆に13、11、10ときているから、来場所は9勝かということになる」とある親方は懸念を口にした。
さらに、相撲協会を相手に反旗を翻し、最後は矢尽き刀折れて退職した元貴乃花親方(46)=元横綱=のまな弟子であることも影を落としていた。
「貴景勝にはまったく罪はないが、『貴』の字に対するアレルギー反応が一部協会員にはある。だから10勝では物足りない、もう1場所…という意見も出た」と前出の親方は証言する。
また、元貴乃花親方自身が何度完全否定しても、参院選出馬説は根強く、「『議員になったら本気で相撲協会改革に乗り出してくるのではないか』と協会幹部は心中穏やかでない」(別の親方)との声もある。
そんな中、完璧な内容で栃ノ心に完勝し、結果的に1横綱2大関を倒した貴景勝は立派。
藤島審判部副部長(元大関武双山)は「普通の場所ではないのに、力を出し切った。(この状況での)10勝は立派。逸ノ城の14勝より値打ちがある」と手放しでたたえた。阿武松審判部長も「この重圧の中で、一方的な相撲で持っていった。申し分ない内容だ」と認めたのだった。
テレビの生中継では勝った瞬間「涙を浮かべていた」と放送された貴景勝だが、「泣いていない。大関は目指していたところなのでうれしいが、ここがゴールではない。泣いていられない」と語気を強めた。
「『貴』という文字がつけば、簡単に上がれると思うな」と辛口エールを送っていた元貴乃花親方の教えに応えた。
一方、入れ替わって大関の座から陥落する栃ノ心の師匠は、“反貴乃花親方”の急先鋒だった春日野親方(元関脇栃乃和歌)。貴景勝は“元師匠のかたきを取った”といえなくもない。
また、横綱白鵬(34)=宮城野=は千秋楽に横綱鶴竜を破り3場所ぶり42度目の優勝を全勝で飾ったが、この一番で右上腕部を痛め、夏場所(5月12日初日=両国国技館)へ向けて暗雲が垂れ込めた。
今後は、27日にエディオンアリーナ大阪で行われる番付編成会議と臨時理事会で、貴景勝の昇進が正式決定。貴景勝は使者に対して昇進伝達式で口上を述べる。そして、番付の大関の欄に『貴』の文字が蘇る。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190325-00000010-ykf-spo
2019-03-25 08:01:06Z
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