「坂本勇人2世」と称される1番・遊撃手には、ほろ苦い夏となった。
18日の第101回全国高校野球選手権大会準々決勝。明石商(兵庫)を1点差で追う九回裏2死二塁、八戸学院光星(青森)の主将・武岡龍世に最後の打席が回ってきた。
「お前が打つしかないからな」
ネクストバッターズサークルで、2人のチームメートから背中をたたかれた。
ここまで5打数無安打。相手は、七回からマウンドに上がった2年生右腕の中森俊介だ。この日、150キロ超の直球を投げ込んできていた。
「俺が打つ」
気合十分で打席に入った。
「真っすぐを狙っていた」
カウント1―1からの3球目。直球をとらえた打球は右翼に高々と上がった。だが、右翼手のグラブに収まった。
「中森くんの真っすぐは想像以上でした」
6―7で敗退。武岡の戦いは、ベスト8で幕を閉じた。
巨人の坂本勇人(八戸学院光星卒)に憧れ、徳島から青森に来た。1年時から先発の座をつかんだ。
高校通算22本塁打、50メートル走5秒9の俊足。さらに、仲井宗基監督に
「守備にかけては坂本勇人の高校時代より上」と言わしめるほどだ。
しかし、昨夏の2回戦では同じ近畿勢の龍谷大平安(京都)に1―14と大敗した。主将となって迎えた今春の選抜大会では初戦で広陵(広島)に0―2で敗退した。春の県大会も初戦で青森山田に敗れた。
「チームがバラバラになりかけた」
ノーシードから挑んだ最後の夏だった。
「苦しい時もあったけれど、3年生中心のチームなので、皆で頑張ろうと声をかけた」
一致団結して戦った青森大会は、1試合平均12得点という圧倒的な打力で勝ち上がった。今大会も、強豪・智弁学園(奈良)などを破った。
「自分が打っていれば…」
そう悔しさをにじませたが、周りの3年生の仲間が奮闘してくれた。
選抜4強の明石商に二回までに5点リードされたが、三回に5番・大江が中前2点適時打を放ち、五回にも敵失に乗じて2点を挙げた。六回には6番・下山が押し出し四球を選んで一度は同点に追いついた。粘りは見せた。
「本当に楽しかった」
武岡は3季連続で出場した甲子園を、こう振り返った。
プロ注目の遊撃手。次の目標は、「プロ野球選手」として甲子園に戻ってくることだ。(本誌・田中将介)
※週刊朝日オンライン限定記事
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190818-00000010-sasahi-base
2019-08-18 07:57:00Z
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