初の古巣戦となったゼロックス杯決勝で優勝の立役者となった。ヴィッセル神戸GK飯倉大樹は18本のシュートを浴びる展開でファインセーブを連発し、PK戦ではコースを読んで2本をストップ。「結果的にもスコア的にも、見ているみんなが楽しめたゲームだったと思う」と笑顔で振り返った。
元日の天皇杯決勝まで昨シーズンを戦い、束の間のオフを挟んでこの日を迎えた。「体は正直、まだまだキツい感じはしたけど、そういうときのほうがGKって意外と止められたりする。前半から結構疲れたけど、体が動いたかどうかより、結果的には止められたという感触でした」。コンディションは万全ではないというが、感覚は研ぎ澄まされていた。
「PKになった瞬間、『もらった』とは思いました」。特徴、プレースタイルを知る元同僚と対峙したPK戦。3人目のFWエジガル・ジュニオのキックを好反応で弾き出せば、6人目のMF和田拓也のキックも横っ飛びでストップした。「シュートを止める準備という部分では心に余裕もあった。メンタル面の優位はあったと思います」と頷いた。
その一方、過去のJリーグ主管大会において最多記録となる9人連続失敗の“珍PK劇”となり、「とんでもないPK戦だったと思います。両チームを知っているので、マリノスも神戸もいい加減にせえよ、お前らと思ってましたけど(笑) 」と冗談交じりに話した。
下部組織から横浜F・マリノス一筋だった守護神は昨夏、完全移籍で神戸に加入した。元旦の天皇杯決勝ではクラブとともに、自身初となるタイトルを獲得。迎えたゼロックス決勝が移籍後初の古巣戦となっただけに、「古巣に勝つのは複雑な気持ちもある」と本音も漏らした。
「どんなことがあってもマリノスは育ててもらったチームだし、愛着がある。神戸のために頑張るけど、マリノスを応援してるし、それは変わることはない」と語ったうえで、「神戸に来てからもマリノス愛を語っていたけど、(神戸の)サポーターさんたちに一つ、結果で見せられたのは嬉しいこと」と胸を張った。
(取材・文 佐藤亜希子)
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2020-02-08 09:29:00Z
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