値千金の追加点には物言いがついたものの、当の本人は至って冷静だった。ゴールシーンを振り返ったガンバ大阪MF矢島慎也は「秋くん(MF倉田秋)がうまく抜け出してくれて、良いボールをもらえたので冷静に押し込むことができた」と語りつつ、VARの決定を待つ時間の空白状態に話を向けた。
場面は1-0で迎えた前半34分。セットプレー崩れからGK東口順昭にボールが戻ると、左サイドに蹴り出されたロングキックに倉田が反応し、ラストパスに走り込んだ矢島がゴールを決めた。しかし、ここで副審はオフサイドの判定。G大阪の選手数人はオフサイドポジションにいたが、倉田の位置はオンサイドだったため、このまま終われば大きな誤審だった。
しかし、そこで今季から導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が救いの手を差し伸べた。福島孝一郎主審が左耳に装着した通信デバイスに手を当て、オペレーションルームと交信すると、約1分間の中断を経て結論が判明。ビデオモニターを確認しない「VARオンリーレビュー」でゴールが認められる形となった。
今回の介入は「VARオンリーレビュー」だったことで、スタジアムのビジョンにはチェック中の画像表示が出たのみで場内に映像は共有されず。そのため、決定が行われるまでの間、スタジアムにはザワザワとした微妙な雰囲気が広がっていた。しかしそうした中、矢島自身はVARの決定に気を取られすぎないようにしていたという。
「ああなったら結構、オフサイドになっているという感覚が強かったので、もう切り替えていました。別に自分の得点が取り消されても1-0で勝っていたし、VARじゃなくても試合が中断した後は失点や得点が生まれるので、周りに声をかけるのを始めていました」。最終的にはホッとする結果となったが、その裏にはルールの変化と向き合う冷静さがあった。
(取材・文 竹内達也)
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2020-02-23 10:01:00Z
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