進路――。それは誰もが悩むことだ。近い将来のことをまっすぐに考えるか、それともその先のステージを見据えて逆算していくか。十人十色、人それぞれであり、「正解」はその選択した者にしかわからないものである。
高校サッカーにおいてもそうだ。卒業してすぐにJリーグに進む者もいれば、海外へ渡る者、JFL以下のリーグを経由してプロを志す道もある。
高校生に多いパターンとして、大学進学を選ぶことが挙げられる。中にはプロからのオファーを受けながらも、近年レベルが高い大学サッカーを自ら選択する高校生も少なくない。今回紹介するのも、その一例だ。
青森山田を苦しめた背番号7の左足。
静岡学園の優勝で幕を閉じた第98回全国高校サッカー選手権大会。準決勝で高円宮杯プレミアリーグ王者・青森山田と激戦を演じた新潟県代表・帝京長岡は、FW晴山岬(町田ゼルビア)、MF谷内田哲平(京都サンガ)、DF吉田晴稀(愛媛FC)という3人のJリーグ内定選手をそろえていたこともあり、大会前の注目度は高かった。
その中で、彼ら3人に引けず劣らずの存在感を放っていたのが背番号7・田中克幸だ。精度の高い左足でゲームメイクとフィニッシャーの両方を担ったセントラルMFである。
青森山田戦、0-2のビハインドで迎えた77分。メッシを彷彿させるような鮮やかなドリブルで次々と堅守・青森山田DF陣を抜き去り、そのまま左足でフィニッシュ。ファインセーブを連発していた相手GK佐藤史騎すらも届かない絶妙なコースにシュートを流し込んだ。
「ボールを運んだ時に最初はパスの選択肢を持っていたのですが、相手に読まれているのがわかったので、さらにドリブルを選択しました。自分の間合いで相手の動きを見ながらコースを辿って、最後は左足を振り抜きました」
テレビで試合を観戦した方の多くも耳にしたと思うが、田中を紹介する際に「Jリーグのオファーを断って大学に進学する選手」とアナウンスされていた。
事実、田中のもとにはヴァンフォーレ甲府とファジアーノ岡山という2つのJクラブからオファーがあった。それを断り、春からは大学4冠を達成した明治大学に進学する。
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2020-01-30 11:00:00Z
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