試合開始から4時間19分、燕党の待ち望む最高の幕切れが待っていた。3-3の延長12回2死、代打青木宣親が告げられた。

中日7番手小熊の3球目、外角直球を左翼席へ。プロ15年目にして初の代打サヨナラ本塁打に、ヘルメットを高々と放り投げてホームを踏んだ。「狙っていたとはいえ、本当に打てるとは。めちゃくちゃ興奮しました」と喜んだ。

長丁場のシーズンを見据える小川監督から休養日を与えられ、スタメンを外れていた。6回から代打の準備を始めたが、なかなか出番は来ず。半袖から長袖に着替えたり、パーカを着たりと調整に苦心しつつ、「いけるよ!」とベンチから人一倍大きな声を出し仲間を鼓舞し続けた。「普段から言っている粘りが、継続してできている。(チームが)自然とそういう気持ちになっている」と納得の表情だった。

春季キャンプでグリップの細いバットに変えたが、納得がいかず、開幕直前に昨年の型に戻した。85センチ、890グラムのミズノ社製を手に「今の時期に振っておきたい」と、全体練習後に1人振り込んだ日もあった。鍛錬が結実したベテランの一振りでの決着。小川監督を「本当にすごい。野球は分からない」と喜ばせた。【保坂恭子】

▼青木がプロ入り初の代打サヨナラ本塁打。メジャーではブルワーズ時代の12年にサヨナラ本塁打を記録している青木だが、日本では05年8月26日横浜戦以来、14年ぶり2本目。サヨナラ本塁打のブランクとしては32年古川(阪急)の15年ぶりに次いで84年基(大洋)に並び2位になる。この日は12回2死から代打。セ・リーグの代打サヨナラ本塁打は通算70本目で、12回以降では6本目。両リーグともに延長制限が12回になった01年以降、終了目前の「12回2死」からの代打サヨナラ本塁打は初めて。