「incredible comeback(信じられないカムバック)」
そんなフレーズで試合を報じたのは英紙『デイリー・ミラー』だった。こちらもまた、前日のリバプールvs.バルセロナや、2005年の「イスタンブールの奇跡」に勝るとも劣らない偉大な逆転劇だった。
トッテナムもまた、過去にリバプールが負ったのと同じ「3点ビハインド」という窮地に立たされた。
ホームでのファーストレグを0-1で落とした彼らは、ヨハン・クライフ・アレーナでのセカンドレグでも、前半だけでマタイス・デリフト、ハキム・ツィエクに2つのゴールを決められ、トータルスコア0-3という絶望的な状況でハーフタイムを迎えていた。
しかし、スパーズは諦めなかった。試合後にマウリシオ・ポチェッティーノ監督が「ヒーロー」と呼んだ選手たちは、決して気持ちを切らすことなく、後半に入ると怒涛の反撃を見せた。そして、負傷欠場でスタンドから試合を見守っていたエース、ハリー・ケインの代役を務めたルーカス・モウラが3つのゴールを決めたのだ。
救世主ルーカスのスピードと粘り。
1点目は、彼の持ち味であるスピードがモノを言ったゴールだった。自陣からのロングカウンターで、彼はセンターサークルから全速力で走り続けた。2人のDFの間をフルスピードでちぎり、ゴール右隅へとボールを流し込んだのだ。
2点目は、粘りが生んだゴールだった。分厚い攻めでアヤックスのゴール前に侵入したトッテナムだったが、フェルナンド・ジョレンテのシュートはGKアンドレ・オナナに一度は阻まれる。そのこぼれ球を拾ったルーカスは、ゴールに背を向けた状態から懸命にボールをキープし、4人のDFに囲まれながらも振り向きざまに左足で蹴り込んだ。
そして、後半アディショナルタイムの3点目だ。
もう試合時間は数十秒しか残っていなかったはずだ。そんな敗退待ったなしの中、自陣から長身のジョレンテにロングボールが入ると、ルーカスはボールが来ることを信じてゴール前へと走り出した。
その期待通り、デル・アリから針の穴を通すようなパスがくると、DFが詰めてくる一瞬前に三たび左足を振りぬく。ルーカスのハットトリックがスパーズを歴史的勝利へと導いた。
https://number.bunshun.jp/articles/-/839259
2019-05-09 09:00:00Z
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