男子20キロ競歩世界記録保持者の鈴木雄介(31=富士通)が、3時間39分7秒の日本新記録で優勝した。18年10月に野田明宏(23=自衛隊)が樹立した従来の日本記録3時間39分47秒を40秒上回った。20キロに続き、50キロでも日本記録をマークし、今秋の世界選手権(ドーハ)の代表に内定した。

終盤にペースを上げ、38キロすぎで優勝争いをしていた川野将虎(20=東洋大)を突き放した。そのまま逃げ切り「練習がいい感じにできていて、日本記録を狙えると思った。後半勝負と考えていました」と振り返った。

鈴木は15年3月に20キロ世界記録1時間16分36秒を樹立したが、その後は苦しみ続けた。メダルを期待された同年の世界選手権(北京)では11キロで途中棄権。16年リオデジャネイロ五輪の予選会は股関節痛で出場すらできなかった。その後もケガに悩まされた。さらに強化費を適切でない形で申請したとして、17年10月から6カ月間の資格停止処分を受けた。

競歩2種目で日本記録保持者となり、完全復活にも見えるが「全然、まだまだ。完全復活ではありません」と控えめに言った。「自分の中ではもっと上げていける。世界で金メダルを取ったら完全復活です」と続けた。

これで世界選手権代表に内定したが、出場するかどうかはコーチらと相談して決める。「回避して、東京(五輪)一本か、考えながらやりたいです」と現時点での明言は避けた。