「マイナビオールスターゲーム2019」のプラスワン投票による出場選手が9日、発表され、阪神原口文仁捕手(27)が選出された。16年以来2度目のオールスターとなる。甲子園球場で会見に臨んだ原口は「うれしい気持ちでいっぱい。本当にありがたいです」と、ファンへの感謝を何度も繰り返した。

原口は昨年末、人間ドックを受けて、大腸がんと診断された。今年1月末に手術を終えたことを報告すると、リハビリを経て3月上旬に2軍に合流。1歩ずつ、1軍復帰への道を歩んできた。復帰初戦となった6月4日ロッテ戦(ZOZOマリン)で適時二塁打を放つと、6月9日日本ハム戦(甲子園)で劇的なサヨナラ打。お立ち台で「みんな、ただいまー!」と叫ぶと、甲子園の観客は大歓声で出迎えた。

闘病後に芽生えた思いもある。自分と同じように、困難に立ち向かう人へ-。「僕の活躍がそういう力になるとすれば、本当に僕もこうやって生きて、野球をやれる意味があると思うので、これからさらに頑張っていきたいと思います」。オールスターの舞台でも、原口の躍動する姿がきっと勇気を与える。

この日、巨人戦の試合前練習を終えた矢野燿大監督(50)も「素晴らしいことやと思うし(舞台が)甲子園やし。ファンのみなさんの思いがそうならないと、選ばれへんこと。すごく光栄なこと。普段、しぶといバッティングを見せてると思うけど、甲子園でホームラン、狙えばいいんじゃないかな」とエールを送った。伝え聞いた原口は、監督のエールに感謝しつつも「狙って打てるものではないので、偶然に期待します」と応じた。原口らしい控えめで熱い受け答えに、会見場に温かな笑いが満ちた。

◆原口文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身。帝京では3年夏に甲子園出場。09年ドラフト6位で阪神入り。13年から育成契約となる。16年4月27日に支配下登録へ復帰し、同日巨人戦で1軍戦初出場。同年5月に打率3割8分、30安打、5本塁打、17打点で月間MVP受賞。昨季は代打で23安打を放ち、08年桧山進次郎と並び球団シーズン最多記録となった。182センチ、92キロ。右投げ右打ち。

★プラスワン投票 「マイナビオールスターゲーム2019」でファン投票、選手間投票、監督選抜各枠での選出選手決定後に、各選出方法で選ばれていない選手の中から、セ・パ両リーグ1選手ずつ、合計2選手が再びファン投票で選ばれる。